卒論・修論の発表
どうも,ちしつやのたまごです.
卒論,修論発表の大変さがしみじみと伝わってくる季節ですね.
ぼくは修士1年なので,あと一年間したらヒーヒー言ってるかと思います.
卒論,修論発表の発表って,
研究室によっても大きく方針が違いますが,
見やすいパワポを作るのって本当に難しい.いつまで経っても慣れませんが,僕が発表をするときに気をつけていることをまとめました.
なお,この内容は僕が過去に指導してもらった先生方の方針を強く反映している可能性がありますが,ルールを徹底することで見やすさ,聴きやすさが格段に良くなります.
1.プレゼン資料の文字は大きく(20pt程度以上)
これは鉄則にしています.
通常の視力で,一般的な講義室等の設備において,20ptの文字が見えにくいということは,まず考えにくいこと,一枚のスライドに入れられる情報量のバランスから言って,おすすめの大きさです.
ある研究室では,「『ジジイフレンドリー』なパワポ」が合言葉になっていると聞いたことがありますが,見やすさに関するもっとも重要なポイントは文字の大きさによります.ジジイ,はちょっとキツい言い方ですが,どんな年齢層にも伝わるような見た目はお互いのスムーズな理解の助けになります.
また,特に見落としがちなポイントとして,「グラフの軸ラベル」これは論文の図をそのまま貼らないようにすべきです.プレゼン用に,大きな字のものに差し替えて示す必要があります.
文字を20pt以上に大きくすると,横幅に収まっていた文字が入らなくなったりして,まあいいや ってなっちゃう時も多々ありますが(例,下の図)
2. 口頭で言わないことは書かない,書かないことは言わない
「スライドでは書いていないけど口では言おうと思っている」
よく聞きますが,これを言う人で発表がわかりやすい人はいた記憶がありません.
優秀な研究ができる人でも,わかりやすい発表ができるかできないかは別問題です.
トピック一つにつき,補足説明が様々必要になるかと思いますが,必ず,発表者が「スライドのどの部分について話しているのか」を分かるようにしなければいけません.
「スライドでは書いていないけど口では言おうと思っている」は,例えば聴衆の中に耳が不自由な人がいた場合,発表者の声が聞き取れなかった場合,マイクに不備があった場合などに大切な情報を伝えられません.
また,時間の都合上「お互いの共通認識だから」と説明を省くこともあるかと思いますが,本当に共通認識として扱っていいのか(反対の意見をもつ論文が出ている,分野が別の人も発表を聞いているか,など)吟味をしましょう.
3. 「目的」「結論」以外で,文を書かない
自分が他人の発表を聴く場合やポスター発表をみる場合,図しか見ていないのではないでしょうか.
ほとんどの「文」は必要ない場合が多いです.
基本的に,
図と箇条書きと記号(→など)と一番言いたいフレーズを一言,程度の要素で十分です.
僕はこんな感じで作っています.実際に発表したスライドの一部です.
ちなみに,僕の研究は接触変成岩周辺の熱構造を主体にしています...
以上,まとめです.
みののまちの形成史
どうもこんにちは.
ちしつやのたまごです.
年末なので実家の岐阜に帰省したわけですが,ついつい気になって露頭へgoしてしまいます.
今日は長良川の川床,露頭が出ている場所へ...旧美濃橋という古い吊り橋が架かっている地点の真下です.現在橋は改修工事中ですが...
さて,この岩,両岸に少しずつ露出があるのですが,小さい頃はよくこの岩から飛び込んだり岩の周りを泳いでました.最高の遊び場です.毎年,夏場はこの周辺の河原にキャンプやバーベキューの客がわんさか来ていて,特にこの岩場の周辺は人気です.
でも,だーれにも気にしていない.この岩がなんなのか!!!
そりゃそうだろうと言われそうです...私も昔は興味ありませんでしたし.
で,久しぶりにちゃんと見てみようと思ったわけです.
画像は近くでその岩を見たときのものです.
汚れていてわかりづらいですが,チャートですね.どうりで川の流れに負けずに露出しているわけです.
高角度で上流側(北東側)に傾斜しています.
脇田(1995)の図幅によると,美濃帯堆積岩コンプレックスの金山ユニットに属するチャートである(Kch)ようです.橋の周辺も高角度で分布しているようですね.
また,ここから周辺地域の地形も踏まえて考えてみようかと思います.
旧美濃橋のすぐ南側の小倉山という山があります.
地質図をみると,小倉山は川のチャートと同じブロックの硬いチャートでできていて,長良川の流れに耐えて残った山であると思われます.
小倉山には金森長近が城(小倉山城)を作り,また東側に城下町を作りました.小倉山は標高が特別に高いわけでは無いですが,周囲に連続して山が分布せず,独立峰となっているため,山頂からはみのまちを一望できます.
また,小倉山の裏には長良川が流れており,水運にはもってこいの立地だったわけです.これがみのまちが栄えることができた理由です.
ミニチュア版の岐阜市がここにあるんですね.
美濃,おもしろい.
では.
岐阜県の地質紹介〜岐阜県の石〜
こんにちは.
ちしつやのたまごです.
ブラタモリが人気を博しているおかげで,地元の山や地形の成り立ちに興味を持たれている方も多いのではないでしょうか??
そんなわけで,今回は私の生まれ故郷の岐阜県の地質について紹介をしたいと思います.
岐阜県在住の方,自分たちの足元にどんな岩石が眠っているか,ご存知ですか?
自由研究や岐阜県の地学に興味を持っている専門外の方のためにも,できるだけ簡潔なにまとめてみました.
1.岐阜県の代表的な岩石・鉱物・化石
まずは,日本地質学会が定めている岐阜県の石を見てみましょう.「県の石」とは2016年5月10日に公募によって定められた,各県を代表する岩石・鉱物・化石のことです.
他県の「県の石」はこちら↓
- チャート
- へデン輝石
- ペルム紀化石群
とありますね .
「チャート」は理科の教科書でお見かけしたことがあるかもしれませんね,遠洋でシリカ(SiO2)を骨格とするプランクトン(放散虫など)の死骸が堆積した際にできる岩石です.
「へデン輝石」は鉱物マニアの方であれば「灰鉄輝石」や「hedenbergite」として聞いたことがあるかもしれません.鉄とカルシウムを含むケイ酸塩鉱物です.
(https://weblio.hs.llnwd.net/e7/img/dict/ktkbt/~ug7s-ktu/heden2.jpg)
「ペルム紀化石群」は化石群と言われていますからイメージしにくいかもしれませんが,「ペルム紀」という地質時代(約2億9,900万年前から約2億5,100万年前)に生息していた生物たちの化石,という意味です.
(http://www.ne.jp/asahi/sansiro/takahashi/fu1.jpg)
どういった理由で,これらの要素が岐阜県を代表すると言えるのでしょうか.
2.岐阜県の骨格をつくる地質
岐阜県の地質を語る上でもっとも欠かせない要素が,この「美濃丹波帯」という地質です.実は日本の地質は,何種類かの異なった地質に大別され,地域によってさまざまな地質が分布します.下に示したのは,日本全国の地質をおおまかに区分した図(正確には,地帯構造区分図)の一部です(引用元:Morenoほか編,2016).謎の色分けと記号がいろいろ書かれていますが,岐阜県のあたりに注目してください.「Na」は名古屋のことなので,岐阜県はそのすぐ上(北)側です.
岐阜県には水色の「MT:美濃丹波帯」,薄橙の「Ry: 領家帯」,濃灰色の「HG: 飛騨外縁帯」,赤色の「HO: 飛騨帯」が分布していますね.
この4つが,岐阜県の,いわば骨格を形成している訳です.
今回この中でもっとも重要な「美濃丹波帯」についてお話しします.
3.美濃丹波帯とは
美濃丹波帯のことを理解するためには,「付加体」という専門用語について知る必要があります.
日本は現在太平洋プレートやフィリピン海プレートが太平洋側から沈み込んでいますが,過去に遡っても同様に海洋プレートの沈み込み帯の上に位置していたと考えられています.
海洋プレートの上部は,遠洋においては中央海嶺で形成された玄武岩の上に,ハワイのような海山(玄武岩),石灰岩(サンゴなどの炭酸カルシウムが由来の岩石),そして先ほどのチャートが堆積します.そして数千万年から一億年程度の長い年月をかけて海溝に到達し,沈み込んで行きます.海溝付近では,陸側から砂や泥などの砕屑物もたらされ,砂岩や泥岩などの原料になります.
これら岩石が沈み込む過程で,その一部は大陸側に押し付けられ,陸側にはぎとられてくっついて(付加して)しまいます.このようにして付加した地質体のことを「付加体」と言います.
美濃丹波帯はこのようにして形成された「付加体」から構成され,日本の骨格を形成するひとつの重要なメンバーとなっています.つまり,付加体はチャート,玄武岩,石灰岩,泥岩,砂岩などが主要な構成要素となっていることが分かります.
名前に「美濃」が含まれているということは,岐阜県の美濃地域と丹波地域でもっともよく分布が見られるためです.岐阜県の美濃地方には美濃帯が分布している,こんなシンプルで良いのでしょうか 笑
そしてこの美濃丹波帯の付加体構成岩類はペルム紀〜ジュラ紀に形成されたことが研究から明らかにされており,石灰岩にはこのようなペルム紀の化石が残されているのです.
岐阜県には美濃丹波帯に属する石灰岩の山が複数箇所ありますが,中でも大垣市の金生山は全国的に有名であり,フズリナや三葉虫などの化石の産出が知られています.
私も過去に何度か足を運び,上記の化石の他にサンゴやウミユリ,腕足類などの化石を採取したことがあります.金生山は石灰岩を採掘しているので中に入ることができませんが,博物館やその周辺の露頭で化石を観察することが可能です.
また,チャートに関しても岐阜県は全国的に第一級の素晴らしい露頭を観察することができます.特に有名なのは愛知県犬山市と岐阜県各務原市との県境を流れる木曽川河床の赤いチャートです.教科書にもたびたび登場するので,チャートは赤いものであると誤認されることもしばしばありますが,含有物によってさまざまな色を呈します.
(チャートは付加時の変形作用により褶曲した状態でしばしば観察されます).
以下のサイトに美濃帯堆積岩コンプレックスに関するより詳しい解説があります.興味のある方はどうぞ↓
https://geo-gifu.org/geoland/gaikan/10_minotai/minotai_table.html
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はじめまして
こんにちは.
地質屋のたまごです.
東京で研究生活してます.
突然ですが,2018年が終わりを迎えようとするこのタイミングでブログ開設しました.
理由は...
- 自分の考えや日々の苦悩や楽しい日常・非日常をただただ綴りたい!
- 後輩たちの助けになりたい!
- 地学を勉強している人たちの助けになりたい!
です.
息抜き程度に見ていただけたら幸いです.
楽しみだな〜〜〜〜😄
では.
↓↓学部生のとき,オーストラリアにひとり旅しました